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環境との調和をめざし「21世紀の化学」に取り組む日本化学会

平成11年2月16日
(社)日本化学会
広報記者会見用資料

■はじめに
21世紀を目前にして、地球環境問題ばかりでなく、有害化学物質による様々な環境影響に社会的な関心が高まっている。化学者・化学技術者の最大の専門家集団である日本化学会では、人類にとって極めて重要な課題である環境問題に対して、日本化学会が今後どのように取り組むべきかをあらためて検討するため、昨年3月「環境と化学特別委員会」を設置し、1年間にわたって具体的な方策を審議してきた。このほどその結果がまとまり、来る2月22日開催予定の理事会に答申される。まず、会員に積極的取り組みを呼びかけ、ついで早い時期に社会に対しても情報発信、交換を行うことにしている。 ここではその報告書に基づいて、日本化学会の環境と化学に関する今後の活動の基本方針(環境憲章 '99)、積極的な活動を推進するための組織の改編、研究ロードマップの作成、具体的な今後の行動計画(5カ年計画)など、同特別委員会の活動成果のあらましを紹介する。

■日本化学会“環境憲章 '99”の策定
21世紀の人類の福祉と地球生態系の保全を達成するには、化学物質の一層の有効な利用とともにその安全性の確保が不可欠である。このような化学物質の環境・安全問題に化学が果たすべき重要な役割に鑑み、日本化学会はこれまでも環境・安全委員会および傘下の専門委員会を中心として講演会・講習会・出版などを通じて着実な活動を行ってきた。しかし、これまでの日本化学会の取り組みは、国際的な有害化学物質管理への動きや、安全性をめぐる行政や社会の要請に十分対応しているとはいえず、会員全体のこれら問題への対応も必ずしも積極的でないのが現状であった。 環境と化学特別委員会は、日本化学会および会員が今後、環境・安全問題に強力に取り組むための基本方針を検討した結果、化学物質の総合管理に関する学際的研究と、環境にやさしいものづくり(グリーン ケミストリー)の推進の2つを柱として、人類の発展と地球生態系保存の調和をはかる化学の創造をめざすべきことを提言した。そして、日本化学会としての環境と化学に関する活動方針“環境憲章 '99”として策定した。 (環境憲章‘99のパンフレットの請求は下記事務局まで)

■日本化学会の組織の改編
日本化学会では、これまで環境・安全委員会傘下の環境・防災両専門委員会を中心に環境・安全問題に対応してきたが、上記の基本方針に沿って、この問題に総力をあげて取り組むには、現行組織では十分強力とは言えない。そこで、環境・安全に関する現行組織を見直し、新組織に改編することとなった。 従来の活動の中心は専門委員会であったが、新組織の環境に関する活動の中心は、本会の執行部(運営会議)に直結して、新規あるいは総合的な企画の発案や方針の審議を主に行う「環境と化学推進委員会」と、それらの実施および日常定型的業務を担当する小委員会(広報・教育・外務・研究企画推進など)であり、環境専門委員会は発展的に廃止される。また、環境・安全問題に関して、行政、産業界、学界などから広く意見を求めるため「環境問題懇談会」(仮称)が新設される。防災に関する活動は、当面、環境と化学推進委員会と現存の防災専門委員会を中心にして行われる。 したがって今後は、「環境と化学推進委員会」が基本方針に沿って執行部と密接に連携しつつ発案し、これを小委員会が具体化して実施する方式となり、また本会の環境・安全に関する全ての活動を掌握し、必要に応じて本会の他のセクターの協力を求めることも容易となるので、これまでよりも強力な活動と機動的な対応が期待できる。

■研究ロードマップの作成
研究ロードマップの作成とは、研究課題を達成するのに必要な要素研究分野を取り出し、これらの相互関係を考慮しつつ組織化・総合化をはかることである。昨年、本特別委員会が実施した環境・安全問題で日本化学会が優先的に取り組むべき課題に関するアンケート(本誌、1998年11月号に結果を要約掲載)でも、研究ロードマップの作成とそれに基づく研究推進の重要性や、本会が果たすべき積極的な役割について指摘され、具体例もいくつか示されている。 今回の報告書では、現在社会的関心の高いダイオキシン関連の研究ロードマップ作成を一例として取り上げたが、問題の解決には化学関連を含む極めて多分野にまたがる学際的研究が必要であることや、本会会員が果たすべき役割が明らかになった。今回の試みはまだ予備的なものにすぎないが、今後さらに優れたロードマップの作成のための改良を続ければ研究推進のみならず様々な効果が期待されよう。

■環境と化学に関する日本化学会の行動計画
日本化学会の環境と化学に関する今後5カ年間の行動計画(別紙1参照)として具体的な提案が行われた。この行動計画は、本会の各支部や各委員会などの今後の活動計画にそれぞれ反映される。 これらの行動計画のうち、いくつかはすでに実施に移されたり、具体的な企画が進んでいる。例えば、本年3月開催される日本化学会第76春季年会では、本特別委員会・産業懇談会主催の「化学物質と環境安全問題シンポジウム」 (別紙2参照) が予定され、化学者は環境安全問題にいま何をなすべきかを広く問いかけることになっている。 化学物質をつくり出す化学・化学技術は、今日の豊かな社会を支えてきた反面、有害物質による悪影響があることも事実である。このようなリスクを科学的合理的に評価し、それを最小にする努力が持続的な社会の発展を可能にするためには欠かすことができない。また、化学と社会を結ぶリスクコミュニケーションは、相互の信頼関係の醸成とリスク低減に重要な手段であり、日本化学会ではすでに平成9年度から受託事業として化学物質のリスクコミュニケーション手法検討会を発足させ、検討を進めている。 以上のように、環境と化学特別委員会としては、環境と化学の問題に対する基本方針・組織・行動計画などについての提言をとりまとめたが、これに沿った日本化学会の今後の取組みの成否は、会員の支援にかかっている。本会としては一人でも多くの会員がこれらの方針に賛同し積極的に活動に参加されるよう理解と協力を求めてゆくことにしている。

[環境と化学特別委員会の構成]
委員長:御園生  誠(東大院工)
委  員:西郷  和彦(東大院工)、富永    健(東大名誉)、内藤  裕史(茨城県立医療大)
       西原    力(阪大院薬)、平石  次郎(化学品検査協会)、松本  和子(早大理工)、
       宮本  純之(住友化学)、中西  敦男(日本化学会常務理事)
オブザーバー:井上  祥平(東理大工)、佐藤  高久(日本触媒)

■環境憲章‘99 パンフレット請求先 
101−0062
東京都千代田区神田駿河台1−5
(社)日本化学会  事務局(田巻)
電話:東京(03)3292−6375  FAX:東京(03)3292−6318
E-MAIL:tamaki@chemistry.or.jp
以上


(別紙1)“環境と化学に関する日本化学会5カ年計画”


平成11年2月3日現在

1.環境領域の研究活動を推進するための研究会の設置

  ●環境問題に関する研究ロードマップの作成
  ●調査研究課題および参加メンバーの公募及び推進

  ☆平成11年度より 下記2件の研究会の設置を答申する。
  (1)化学物質の環境挙動と分析、(2)グリーン ケミストリー関連
2.グリーン ケミストリー/サステイナブル ケミストリーの推進

3.調査研究の実施

  ● 関係省庁等への調査研究テーマの積極的提案および調査研究受託事業の推進
4.人材育成
  ● 化学物質の総合安全管理者の養成
  ● 学生・教師を対象とするる環境安全教育講座の開設と資格認定
  ● リスクコミュニケーション手法検討およびリスクコミュニケーターの養成 
5.環境関係研究者ディレクトリーの作成とデータベース化

6.出版/講習会・講演会等の開催による継続的情報発信

  ● 出版物、調査レポートなどの翻訳出版
  ● 研究会成果の発信・出版 
  ● 化学物質の環境安全教育に関するテキストの作成
  ● 継続的な講習会・講演会のシリーズ化、リーフレット化
  ● マスメディアへのPRの強化
7.化学系および環境関連他学協会との連携によるフォーラム、シンポジウムの開催
  ●『化学物質安全性』に関するシンポジウム
  ●『グリーンケミストリー/サステイナブルケミストリー』シンポジウム
  ● 日本化学会年会におけるシンポジウム
8.海外学会との交流、国際シンポジウムの開催
  ● アメリカ、イギリス、ドイツ化学会との共同宣言の実現および具体的活動の実施
  ● SETAC (Society of Environmental Toxicology and Chemistry)/UNIDO AP   Symposium/Workshopなど国際シンポジウム・ワークショップの開催
  ● 他学協会との連携によるアジアへの発信
9.環境と化学推進委員会での政策・企画の継続的実施と各支部 ・各委員会での活動計画への反映

以上


(別紙2)『ダイオキシン、内分泌攪乱物質問題で化学者はいま何をすべきか』

−化学物質と環境安全問題シンポジウム−

主催 (社)日本化学会環境と化学特別委員会・同産業懇談会

■日 時 平成11年3月31日(水)9時20分〜16時50分
■会 場 神奈川大学キャンパス(横浜市神奈川区六角橋、日本化学会第76春季年会会場)

21世紀の人類の福祉と全地球的環境保全にとって化学物質のさらなる利用とその安全性確保は極めて重要であり、化学物質の環境安全問題とりわけ、そのリスクの科学的解明や対策については化学をはじめ科学技術が大きな役割を果たす。化学の専門家集団である日本化学会は、これらの研究推進を支援し、正確な情報を提供するとともに、学術の知識普及を図り、合理的な対策を広く社会に提案する責務を負っており、関係委員会で必要な諸活動を行ってきた。しかしながら、化学物質に係わる環境・安全問題に対するこれまでの取り組みは社会や行政の期待に応えているとは必ずしもいえない。このような認識から、本会では平成10年度より"環境と化学特別委員会"を新設し、今後環境安全問題にさらに強力に取り組むための方針を策定した。本シンポジウムでは、化学物質の環境安全問題に係わる科学的な課題にスポットをあて、何が問題になっているか、何を解決する必要があるか、化学者はいま何をすべきかを広く討議する。


開会挨拶  <9:20〜9:30>                 (平成11年度日本化学会会長)   井上  祥平
1. ダイオキシンを中心とした化学物質のハザードとリスク<9:30〜10:20>
                                             (筑波大学社会工学系教授)   池田  三郎
2. 内分泌攪乱物質研究をめぐる国際動向<10:20〜11:10>
                         (住友化学工業(株)顧問・IUPAC化学と環境部会長)   宮本  純之
3.人間集団の健康影響に関する疫学的評価<11:10〜12:00>
                        (名古屋市立大学公衆衛生学教室教授)   徳留  信寛
4.化学物質の生体内および環境における代謝・分解<13:10〜14:00>
                                              (京都大学名誉教授)   栗原  紀夫
5. 日本化学会の環境問題への取り組み
  1)環境と化学特別委員会活動報告<14:00〜14:20>
            (環境と化学特別委員会委員長・東京大学大学院工学系研究科教授)  御園生  誠
  2) 化学物質のリスクコミュニケーション手法検討調査<14:20〜14:40>
       (環境専門委員会リスクコミュニケーション手法検討委員会委員長・横浜国立大学
           工学部教授)                                                 浦野  紘平
6.パネル討論『化学者は環境安全問題でいま何をすべきか』<14:50〜16:50>
●パネリスト
           (東京大学名誉教授) 富永    健   (大阪大学大学院薬学研究科教授) 西原    力
  (環境庁環境保健部環境安全課長)吉田 徳久  (通産省基礎産業局化学品安全課長)塩沢 文朗
                                       (三菱化学(株)理事・環境安全部長) 藤井  俊治
         
●司 会      (早稲田大学理工学部教授)  松本 和子  (住友化学工業(株)顧問) 宮本  純之

■参加費  無料      ■資料代 2,000円(予定)
■申込方法  化学物質と環境安全問題シンポジウム申込みと記し、1)氏名、2)勤務先、3)連
絡先住所・電話・FAXを明記し、葉書/FAX/Eメールのいずれかで下記あてお申込み下さい。
■申込先  101-0062東京都千代田区神田駿河台1-5 (社)日本化学会環境シンポジウム係
  (電話 03-3292-6161  FAX 03-3292-6318  E-MAIL tamaki@chemistry.or.jp)