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新元素113命名権獲得へ近づく

 理化学研究所(野依良治理事長)は26日、新たに3個目の113番元素同位体の合成に成功した、と発表した。理化学研究所の仁科加速器研究センターの森田浩介准主任研究員らのグループが合成、崩壊経路を確認、27日の日本物理学会英文誌「Journal of Physical Society of Japan」オンラインに掲載される。

 野依理事長は「理研ではこれまでにも2個の113元素の同位体を合成しているが、今回の成果は従来の2個とは異なる崩壊経路を辿り、既知核に到達したことを確認した。これは新元素発見の証拠を一段と盤石とする成果で、元素命名権の獲得に大きく近づいた。周期表には多くの元素が載っているが、これまでに日本が命名した元素はない。命名権を取得し、周期表に日本発の元素をぜひ載せたい」と述べている。

 森田准主任研究員らは元素番号30の亜鉛を光速の10%まで加速させたビームを標的の原子番号83のビスマスに照射、核融合させる方法で、原子番号113、質量数278の新元素113を合成した。これまで2004年、2005年の2回、新元素113の合成、崩壊を確認しているが、データ数が少ないなどを理由に新元素発見の優先権を認定する審査部会(IUPAC・国際純正・応用化学連合とIUPAP・国際純粋・応用物理連合が推薦する6名の合同作業部会)で認定されていない。一方、 ロシア・米国グループも全く別の経路で新元素113を発見したと主張しているが、既知核に到達していない。

理研がこれまで合成に成功した2回は113番元素同位体の崩壊が4回連続したα崩壊し、原子番号105のドブニウムになり、さらにドブニウムが自発核分裂、二つの原子核となったことを確認しているが、今回はドブニウムからさらに2回のα崩壊を繰り返し、最後は原子番号101のメンデレビウムになったことを確認したもので、既知核への崩壊経路、到達が確かであることを確認した。

図:113番元素がアルファ崩壊する様子
 これまでに理研が観測した3個の113番元素の崩壊連鎖 図1
 これまでに理研が観測した3個の113番元素の崩壊連鎖 図2
113番元素がアルファ崩壊する様子
これまでに理研が観測した3個の113番元素の崩壊連鎖
(図をクリックすると拡大してご覧になれます)

 すでにIUPAC・IUPAPの合同作業部会では5月から新たに審査・検討に入っているが、森田准主任研究員らは合同作業部会に新規データとして提出することにしている。
合同作業部会で新元素発見の優先権が認められれば命名権が与えられ、申請者の命名をIUPACが審査、新元素命名を行う。なお日本名はIUPACの命名を受けて日本化学会命名法専門委員会が決定することになる。  

記者会見写真
写真 左から森田浩介准主任研究員、野依良治理事長、延與秀人仁科加速器研究センター長