日本化学会

閉じる

トップ>新着情報 >お知らせ >【開催報告】関東支部講演会「福島廃炉,環境回復に関する化学研究開発の最前線およびその展開」

【開催報告】関東支部講演会「福島廃炉,環境回復に関する化学研究開発の最前線およびその展開」

2015年8月31日

 日本化学会関東支部主催、環境科学会、環境放射能除染学会、日本アイソトープ協会、日本エアロゾル学会、日本原子力学会、廃棄物資源循環学会協賛による講演会「福島廃炉,環境回復に関する化学研究開発の最前線およびその展開」が28日(金)、千代田区神田駿河台の日本化学会7階ホールで開催された。産学官、学生などさまざまな分野、領域から75名が参加、熱心に聴講するとともに活発な質疑応答が行われた。講演会後に名刺交換の機会が設けられ、引き続き質疑、情報交換が続いた。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は大きな社会生活、経済活動にも多大な影響をもたらし、現在でも廃炉、汚染水対策、環境回復など世界にも前例のない困難な課題への対処が求められている。こうした課題の解決には化学の役割が重要となっており、関連分野・領域における化学に関する理解、また化学分野においては新機能材料や新技術の開発の一助していただくことを趣旨に今回の講演会を企画、開催することにした。関係学協会に協賛をいただいたこともあって広い分野から参加があった。


 講演会の講師、テーマ・内容は次の通り。

  • 沼田守原子力損害賠償・廃炉等支援機構執行役員は「廃止措置―全体戦略と化学の貢献」のテーマで講演、東電第一原発の最新状況と喫緊の課題について克明に説明し、今後の廃炉、環境修復に向けた全体戦略と体制、化学の貢献への期待を具体的に示した。
  • 大迫政浩国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長は「除染から中間貯蔵へ~技術的課題と展望」で除染措置の概要と保管状況を説明し、除去土壌の特性と中間貯蔵施設計画、さらに県外最終処分に向けたロードマップを示した。また最終処分のために文級・洗浄処理、化学処理、熱処理などの減容化技術について解説した。
  • 斎藤恭一千葉大学工学研究科教授は「福島第一原発内の汚染水処理のための放射性物質除去用吸着繊維の開発」をテーマにナイロン系吸着繊維および無機化合物担持吸着繊維の開発とセシウム、ストロンチウムの吸着構造と性能などについて述べた。
  • 矢板毅日本原子力研究開発機構放射光エネルギー材料研究ディビジョン長は「放射光等および第一原理計算を用いる粘土鉱物へのCs吸着機構解明」でセシウムはまとまった形で粘土鉱物内に侵入し、静電的相互作用、弱い共有結合などによって安定化することを明らかにした。
  • 兼保直樹産業技術総合研究所環境管理研究部門研究グループ長は「大気中を輸送される放射性物質のphysico-chemicalな特性と地表への沈着」で大気中の放射性物質の地表への沈着などに関して核種、粒径など物理化学的特性、水溶性などの化学特性が重要であると指摘、詳細を解説した。
  • 藤巻秀日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究センター植物RIイメージング研究グループ長「植物RIイメージング技術による農業生産物の汚染リスク低減に向けたアプローチ」をテーマに植物中の元素の吸収、移行、集積など動態を植物科学的アプローチによって解明、詳細を述べた。

kantoshibukoen201508-1.jpgkantoshibukoen201508-2.jpg