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本会名誉会員 大村智先生がノーベル医学・生理学賞を受賞

2015年10月6日

「寄生虫によって引き起こされる感染症の新規治療法の発見」を受賞理由として、2015年のノーベル医学・生理学賞を大村智先生(北里大学特別栄誉教授、日本化学会名誉会員)が受賞されたこと、大変嬉しく思います。昨年のノーベル物理学賞日本人受賞に続き、日本全体にとって非常に明るいニュースとなりました。

大村先生のお仕事は、天然の微生物、特に放線菌から医薬となる物質を発見することで、感染症の撲滅に大きく貢献されました。特に、イベルメクチンの開発により、河川盲目症と呼ばれるオンコセルカ症の蔓延を押さえ込むことに成功しました。オンコセルカ症は、アフリカ、南米の河川域に発生する病気です。ブユによって原因となる線虫が運ばれ、目にこれが寄生、20才以降になって、網膜が損傷し、失明する病気です。大村先生は、川奈温泉のゴルフ場の土から採取した放線菌から、エバーメクチンを最初に発見されました。その後、より効果的な抗生物質イベルメクチンとして展開されました。
大村先生は、山梨大学学芸学部自然科学科卒業後、高校の理科教諭を務められ、その後東京教育大学の中西香爾教授のセミナーに通うとともに、東京理科大学で有機化学を学ばれました。日本化学会と米国化学会が主催する「ナカニシプライズ」(天然物、生物有機化学の分野で卓越した業績をあげた研究者に贈られる賞)を2000年に受賞しておられます。日本学士院賞を受賞後、日本学士院会員として日本の学術動向を俯瞰し、日本の学術振興のために積極的に活動しておられます。若い時代から、日本化学会会員として(1961年入会)、天然物有機化学分野を先導して来られました。
今後も、ご自身の研究のみならず、若い研究者の育成をリードいただき、日本の科学の発展にさらに貢献していただけることを祈念しております。


公益社団法人日本化学会会長
榊原定征