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【開催報告】化学への招待-講演会

2016年2月10日

 日本化学会関東支部化学教育協議会主催の「化学への招待-講演会」が2月6日(土)午後2時から東京都目黒区の東京大学生産技術研究所コンベンションホールで開催された。今回は「化学の力で生命現象に挑む」をテーマに2015年ノーベル化学賞、医学・生理学賞に関連した最先端の研究成果について2題の講演があり、88名が参加、熱心に聴講した。  
工藤一秋関東支部化学教育協議会議長(東京大学生産技術研究所教授)が「2015年のノーベル医学・生理学賞は微生物に由来する感染症治療薬の発見、化学賞はDNA修復機構の発見者に贈られました。いずれも化学が大いに関係している研究領域であり、化学の力によってもたらされた成果です。今回は生命活動が化学のコトバでどのようにあらわされ,化学の力で生命活動にどのように働きかけることができるのかについて知っていただこうと企画した」と趣旨説明を行い、開講した。
第一講は産業技術総合研究所生命工学領域創薬基盤研究部門の新家一男次世代ゲノム機能グループ長・上級主任研究員が「天然化合物の魅力と克服すべき課題-次世代天然物化学への展開」のテーマで、ペニシリンの発見以降、抗菌剤や抗生物質、抗腫瘍剤など多くの医薬品が天然物化合物をベースに創製されており、市販されている医薬品の60%が天然由来であることを示し、現在あらためて創薬リード化合物探索のすぐれたソースとして注目されているとした。わが国は天然物化学で世界トップクラスで、さまざまな挑戦が続けられているとして、産総研を中心とした研究開発の最前線について具体的事例を示した。  
 第二講は東京大学大学院理学系研究科の西増弘志助教が「化学の力で遺伝子の改編に挑む」のテーマで最新のゲノム編集の知見と研究開発の現状を紹介した。微生物はCas9とよばれるタンパク質を使って、外敵から身を守っている。4年前にCas9がDNAを狙った任意の場所で切断するハサミの働きをするなどの生化学的機能が報告され、この性質を利用して生物の遺伝情報を書き換える技術が注目を集めた。東京大学の濡木理教授、西増助教らのグループによってCRISPR- Cas9の結晶構造が解明、DNA切断の仕組みが明らかにされた。西増助教はこれをベースにゲノム編集、応用技術開発などが急速に進んでいること、今後の品種改良や遺伝子治療へ大きく期待できる可能性を示した。
 2講ともに最先端の内容であったが、フロアからの質問が相次ぎ、活発な質疑応答が行われた。

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