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【開催報告】R&D懇話会186回 JAXA(宇宙航空研究開発機構)―見学と講演―

2016年5月27日

日本化学会のR&D懇話会186回 定例会が5月20日(金),神奈川県相模原市のJAXA(宇宙航空研究開発機構)相模原キャンパスで開催された。参加者45名が固体燃焼ロケットの開発に関する講演2件を聴講し,展示室および研究施設を見学した。

後藤健ISAS/JAXA宇宙飛翔工学研究系准教授は固体燃料ロケットM(ミュー)ロケットのモータケース材料について講演した。ロケット開発の世代を追うごとに,ロケット先端に近いモータケースから順に,鋼や合金に代わってCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が採用されてきた経緯,背景を解説した。 続いてCFRPのハニカムコア,サンドイッチパネルといった構造体の開発実績やカーボンナノチューブを用いた複合材料の開発状況が紹介された。期間中に要求する水準に到達しなかった開発の事例も交えた内容で,ロケットの材料開発の厳しさが垣間見られた。

北川幸樹ISAS/JAXA宇宙飛翔工学研究系助教は強化型イプシロンロケット固体推進系の開発をテーマに講演した。イプシロンロケット試験機は2013年9月14日,打ち上げに成功している。現在,2号機の打ち上げに向けて2段固体モータM-35の新規開発が進められている。実際にロケットに搭載される前の試験段階である,真空地上燃焼試験の様子を,映像を示しながら詳しく解説した。参加者からは,地上においてどのように真空下での燃焼を実現しているのか,などの質問があった。

見学では小惑星探査機はやぶさ(模型)や実物大ロケットの屋外展示を前にその仕組み等の説明を受け,実際のミッションにまつわるエピソードも語られた。構造機能試験棟および飛翔体環境試験棟では構造体が大気圏脱出時や宇宙空間において曝されるであろう環境を想定し,磁場,圧力,熱,光,慣性,振動等のあらゆる条件下における構造体の変化を計測,その信頼性を評価しており,参加者は近々搭載される予定の衛星が実際に試験されている様子を見学し,宇宙探索に至るまで道のりを感じた。

次回R&D懇話会187回は6月3日(金)17:00より「セルロースナノファイバーの新たな用途展開」をテーマに開催される。 http://www.chemistry.or.jp/event/calendar/2016/05/rd187.html

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