(2006.06.29掲載)

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早大松本教授のIUPAC副会長辞任と本会の対応について


平成18年6月29日
社団法人 日本化学会
会 長 藤 嶋  昭

 既に新聞報道などでご承知の通り、早稲田大学の松本和子教授は、大学内部の調査で研究費の不正受給が明らかにされたほか、論文データの捏造についても調査が進行中と聞いております。これを受けて、教授は6月28日に日本学術会議を通じて、国際純正・応用化学連合(IUPAC)に副会長辞任の意向を伝えました。教授は、昨年8月の北京の総会で次期副会長に選出され、今年の1月から職務に就き、平成20年1月から日本人として2人目、女性としては初めてのIUPAC会長に就任する予定でしたが、誠に残念な結果になりました。
 IUPACは、世界66ヶ国が加盟する化学の国連であり、世界の化学の振興に向けて、教育、研究、産学交流、化合物命名法など広範な活動を展開しており、多くの日本人化学者が、諸外国の化学者らとともに、ボランティア活動を展開しております。また、わが国の多くの化学系企業も賛助会員として、その活動を支えております。松本教授のこのような形の辞任によって、わが国のIUPACにおける発言力が一時的に低下する恐れがありますが、IUPAC活動の重要性がいささかも減ずるものではなく、会員諸氏の一層のご協力をお願いする次第です。
 なお松本教授は、公的な立場の委員のほか、当会の元理事、前国際交流委員長を務めるなど、会員の模範となるべき立場にありながら、このような問題を起こしたことは誠に遺憾であり、当会の倫理規定に則し、倫理委員会で早急に調査・審理を始める予定です。


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