「夢・わくわく化学展2001」実験DVD
 炭とアルミの電池
 

電池になるわけ

<詳しい説明>
アルミニウムは水の中で、(1)式のようにアルミニウム陽イオンを水中に溶かしだし、電子をアルミニウムから外部へ出そうとします。


一方、木炭の表面に吸着した酸素は、電子を取り込んで反応しようとします。この電子を出したい反応と、電子を受け取りたい反応が同時に進行することで電子がアルミニウム側から木炭の側へ移動します。つまり、アルミニウムは、水中で酸化され、この時放出された電子(e−)は、外部の電線を伝わり流れ(電流)木炭の表面に到達し、木炭の表面に吸着した酸素に電子を与え反応します。



この場合、空気中の酸素が(2)か(3)の様に反応するとよく説明されていますが、



酸性溶液では、



(2)や(3)の反応は、触媒の作用で進行します。触媒が適切で反応が理想的に進行したばあいだけ反応は最後まで進行しますが通常はたとえ触媒があっても途中で止まってしまいます(過酸化水素の生成)。木炭の表面は複雑で酸素を吸着する作用のほか触媒作用があるので電気がとりだせるのです。これが炭素本来の性質なのか木炭の不純物によるものか、両方の作用なのかまだ詳しいことはわかっていません。
{実際の化学には、教科書のように完全にわかっていること以外に、詳しくはわからないけれど反応している例がたくさんあります。これからみなさんが、いろいろ工夫して解明することがたくさんあります}
ところで、木炭・アルミ電池の反応は、これだけでしょうか?
みなさんが、木炭・アルミ電池をつくって動かした後、電池を分解してアルミニウムの表面のpHをpH試験紙で調べてみて下さい。作ったばかりの電池と比べて酸性になっているはずです。また、長い時間動かした後は、アルミニウムの表面がぬるぬるになっているはずです。これはどうしてでしょうか?
(1)の反応で生じたアルミニウムイオンは、次のような反応を起こし、水酸化アルミニウムと、水素イオンになります。



全体として、



<ただし、すべて最後まで反応するのではなく、途中の水酸化物



で止まる場合もあります>

この反応によって生成した水素イオンがアルミの表面を酸性にしているのです。また同時に生成した水酸化アルミニウムがゲル状の物質で、ぬるぬる感を出すのです。
 

contents


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■ 光で汚れを落とす

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