認定化学遺産 第003号
具留多味酸 試料
1908(明治41)年、東京帝国大学の池田菊苗が昆布のうま味成分としてグルタミン酸を抽出、同定し、さらにそのナトリウム塩が強いうま味を呈することを見いだし、調味料として工業的製法を確立した。
このグルタミン酸ナトリウムは鈴木三郎助によって「味の素」の名称で商品化された。
本認定化学遺産は池田が最初に昆布から抽出した「具留多味酸」(グルタミン酸)試料である。本品は、東京大学理学部化学教室に長い間保管されていたが、現在、味の素株式会社「食とくらしの小さな博物館」(東京都港区高輪)に貸与され、一般に公開されている。
上:池田菊苗(1923年、60歳)
右:池田がはじめて抽出したグルタミン酸 試料(内容量は10g程度と推定される)
参考文献
「うま味発見100周年記念公開シンポジウム」、『日本味と匂学会誌』 15(2)別冊、2008。
芝哲夫「池田菊苗の想い―うま味発見100周年を記念して」第1回、 第2回、 『化学と工業』 61(8):795頁; (9):885頁、2008。
廣田鋼蔵『化学者池田菊苗―漱石・旨味・ドイツ』(東京化学同人、1994)139-183頁。
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