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東日本大震災被災者支援事業報告

  1. 経緯
    2011年3月11日、東北沖を震源とする東日本大震災が発生し、1万8千名以上の尊い命が犠牲になり、40万人以上が被災した。日本化学会では、理事会で、いち早く被災者支援のための活動を開始することを確認し、化学会から1400万円の資金を充てること、および新たに募金を開始することを決めた。
    支援の実行のため、筑波大学の赤阪健教授を委員長とし、全支部および産業界の委員からなる東日本大震災被災者支援委員会を立ち上げ、支援の基本方針、支援項目、予算配分等を決め、個別の支援案件について、承認するシステムを構築した。
    活動の状況は、つど、ホームページへの掲載、理事会への報告などで実施した。

  2. 支援の基本方針
    「化学を中心とするサイエンスコミュニティおよび次世代を担う小・中・高校生に対して、短期だけでなく中長期的に継続して支援活動を行うことを基本方針とし、期間は平成26年2月末までを一応のめどとした。

  3. 支援事業
    上記基本方針のもと、次の7つの支援分類を設定し、それぞれに対し、ほぼ均等に支援するように配分した。①本の寄贈、②備品の提供または貸出(理科の実験器具・装置、放射線測定機器など)、③被災地域での実験ショー、出前授業の実施、④シンポジウム・講演会などの開催(復旧・復興に関するもの、地域活性化に役立つものなど、被災地での講演会開催、被災地への外国人講師の招待など)、⑤化学会イベントへの被災者招待、⑥財政的援助(会費・参加費等の補助、奨学金、留学生支援など)、⑦今後の備えに繋がること(写真・映像などの収集・公開、化学実験室の安全に関することなど)  
    具体的な支援項目及び予算については、支援委員会の合意を得て、常務理事の承認のもと、とり進めた。実施したものを表にまとめた。

  4. 会計報告
    原資:化学会よりの供出資金   14,000,000 円
        会員等からのご寄附     3,365,976 円   計 17,365,976 円
    支出:               14,399,450 円
    収支:                2,966,526 円 

    支援項目 実施項目 費用実(円)
    1.本の寄贈  1-1 出版5団体と協力して19避難所に図書寄贈 824,437
    1-2 日本図書館協会と協力して28図書館に図書寄贈
    1-3 化学教育図書支援(高田高校) 239,820
    2.備品の提供・貸出 2-1 マイクロスケール化学実験器具の提供(宮城1) 575,694
    2-2 マイクロスケール化学実験器具の提供(宮城2) 944,995
    2-3 マイクロスケール化学実験器具の提供(福島)  868,402
    2-4 マイクロスケール化学実験器具の提供(岩手) 363,059
    2-5 マイクロスケール化学実験器具の提供(宮城3) 169,365
    2-6 ICTを用いた化学授業支援(気仙沼高校) 895,450
    2-7 LEDを用いた野菜の栽培実験支援(宮城農業高校) 368,710
    2-8 放射線教育支援(石巻好文館高校) 829,500
    2-9 実験器具・試薬提供(石巻好文館高校) 830,392
    2-10 仮設校舎授業支援(石巻市女子商業高校) 1,005,643
    2-11 「エネルギーとその利用」授業支援(多賀城高校) 253,909
    2-12 理科教育・防災教育支援(多賀城高校) 469,980
    2-13 顕微鏡の充実(多賀城高校) 273,000
    2-15 化学巡回訪問指導支援(宮城県総合教育センター) 970,435
    3.被災地で実験ショー
    出前事業の実施
    3-1 気仙沼市内の小学校並びに図書館等に於ける実験教室の実施 135,330
    3-2 世界化学年特別展の震災地での巡回展示 722,438
    3-3 化学講演会「未来への志」(気仙沼高校) 112,926
    3-5 化学の不思議な世界展支援(仙台市科学館) 1,936,640
    4.シンポジウム・講演会の開催 4-1 8/26放射線汚染からの環境再生講演会の実施 376,425
    4-2 3/26シンポジウム:震災復興の歩みの実施 86,790
    5.化学会イベントへの招待 5-1 ・8/26講演会への福島高校生招待 102,560
    6.財政的援助 6-1 被災学生会員の会費免除 0
    6-2 会誌・論文誌に関するサービス
    6-3 被災学生への年会登録費の補助 8,000
    7.今後の備えに繋がること 7-1 「東日本大震災と化学系研究室」記録DVD作成 600,000
    A.被災者支援委員会活動 A 委員会開催費、通信費等 435,550
    14,399,450
  5. 今後の予定
    当初、一応のめどとしていた平成26年2月末までに、全額を費消するに至らなかった。
    残額も含めて全額を被災者支援に用いることとし、理事会管理のもと、平成26年度以降も実施することにしている。尚、東日本大震災被災者支援委員会は、一応の役割を果たしたため、平成26年2月末をもって終了することが、理事会で承認された。

  6. おわりに
    2年7ヶ月の活動を通して、限られた期間、限られた予算内ではありましたが、被災地の次世代を担う小・中・高校生のみなさんのお役に少しでも立てられればとの思いで活動してまいりました。お役に立てられたかどうかは、今後の若い方々のご活躍に委ねたいと存じます。


東日本大震災被災者支援委員会委員一覧
委員長 赤阪 健(筑波大)
委 員 蛎崎 禎司(北海道教育大)河野裕彦(東北大院理)磯部 寛之(東北大院理)
    小川 智(岩手大工)   西原 寛(東大院理) 三戸 邦郎(三井化学)
    大井 貴史(名大院工) 柳 日馨(大阪府大院理)江幡 孝之(広島大院理)
    中嶋 直敏(九大院工) 川島信之(日本化学会)
    ※所属は発足当時 

添付:個別事業報告(pdf)