日本化学会

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Vol.73, No.6 2020年

分子が発動するサイエンス
化学者にとって,生命システムを人工的に作り上げることは究極の目標の1 つではないでしょうか。過去のノーベル化学賞にて2016 年の分子機械や2018 年の分子進化工学を見てみますと,化学者が分子を人工的に設計しアレンジすることで,自在に働かせることができるのではないかと思ってしまいます。しかし,生物に見られる自己複製やエネルギー代謝を再現する分子・組織構造体の人工設計はいまだ容易ではないようです。一方で2013 年には高分子の動力学シミュレーションがノーベル賞を受賞したことから,計算化学の融合が高度な分子設計に一石を投じるのではないかとも期待されます。新学術領域「発動分子科学」は,化学,生物学,物理学のそれぞれにおいて独自に研究対象とされてきた「分子機械」を,エネルギー変換という機能をもつ「発動分子」へと発展させようとする新しい学術を切り開こうとしています。本特集では,化学の観点から"発動する"分子に挑戦している研究を紹介します。

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