日本化学会

閉じる

トップ >化学を知る・楽しむ >ディビジョン・トピックス >有機化学 >系内発生アミド塩基による芳香族複素環化合物の脱プロトン化-ホルミル化反応

系内発生アミド塩基による芳香族複素環化合物の脱プロトン化-ホルミル化反応

Amide-base Generated In Situ Catalyzed Deprotonative Formylation of Heteroarenes

芳香族複素環化合物のホルミル化反応は,生理活性物質や機能性材料の合成において重要である。その代表例として,化学量論量の強塩基(n-BuLiやリチウムジイソプロピルアミド)による脱プロトン化,引き続きホルミル化剤を作用させる手法がよく知られているが,副反応を抑制するために極低温条件を要することが欠点であった。工業規模での合成を考えると室温付近で行える反応系が好ましく,それゆえに近年,マグネシウムアミド塩基を用いる手法がMulzerら1),Kondoら2),Knochelら3)などによって開発されてきた。それらの手法では,0℃から室温付近の温和な条件下で,求電子性官能基が共存しても効率的にホルミル化反応が進行する。
これに対して筆者らは最近,テトラメチルアンモニウムフルオリドおよびアミノシランから反応系内で触媒的に発生させたアミド塩基を用いる新手法を開発した4)。本手法は,室温下ですべての反応剤を一度に混合する簡便な実験操作で行え,各種求電子性官能基の共存下,ベンゾチオフェン,ベンゾチアゾール,オキサゾール等の芳香族複素環を効率的にホルミル化することができる。今後,本手法の更なる応用展開が期待される。

chem72-5-03.jpg

1) J. Mulzer et al., J. Org. Chem. 1995, 60, 8414.
2) Y. Kondo et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2001, 1, 442.
3) K. Knochel et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 793.
4) M. Shigeno, Y. Kondo et al., Org. Process Res. Dev. 2018, DOI: 10.1021/acs.oprd. 8b00247.

重野真徳 東北大学大学院薬学研究科