日本化学会

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地球と共存する化学

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小林 喜光
Yoshimitsu Kobayashi
2020年度・2021年度 日本化学会 会長

 5 月25 日に日本化学会の会長に就任いたしました。任期の2 年間,副会長,理事の皆様方のご協力を得て,日本化学会の一層の発展に尽力して参ります。宜しくお願いいたします。
 日本化学会会長に就任するにあたり,我々を取り巻く世界の現状を把握し,その中で化学が果たすべき役割について,私の考えを述べさせていただきます。
 現在の社会においては,「グローバル化」「デジタル化(AI 化)」「ソーシャル化」の3 つの大きなうねりの中で,既成概念が覆されるような急激な環境変化が起きています。米国,英国に代表されるポストグローバル化への波,世界的なデジタルプラットフォーマーの台頭,AI や量子技術の急激な進歩など,時代は革命期に突入していると言えるでしょう。そのうえ,昨今の新型コロナウイルス問題が終息した暁には,生活形態や価値観の大きな転換が想定され,あらゆる戦略を大胆に見直すことが必須となります。一方で,我々の目の前には気候変動問題,海洋プラスチック問題,食糧・水問題,あるいは先にも述べた新型コロナウイルスによるパンデミック等に代表される世界的規模の解決すべき課題が山積みされています。このような時代の変化に鋭敏に対応し,世界規模の課題への解決策を提供していくことが,「化学」に最も期待されていることだと考えています。
 これまで,化学産業は大気や海を汚染するものの代名詞のように扱われてきましたが,その反省を活かすことで,青く澄んだ海やホタルが生息するきれいな淡水や空気を取り戻すことができました。つまり,化学産業は自ら招いた環境破壊に対し,自らの経験と技術を活用してsolution provider としての役割を果たしたのです。「化学」の力をもってすれば,世界規模の課題に対しても必ずや解決策を見出すことができるでしょう。そのためにも,以下を実現できるような環境を整備し,新たなイノベーションを産み出す「場」を提供できるよう,日本化学会としての活動を推進していきたいと考えています。

  1. 最先端の研究活動を継続的に推進し,新たなイノベーションの種となる化学的発見・技術開発を加速する。
  2. 研究成果を実装するために異領域(学問間,産学官,国内外)との連携・融合など(オープンイノベーション)が重要であることを認識し,自らの研究活動を推進する。
  3. 次世代を先導していく化学系人材を育成するとともに,日本の研究環境をより魅力的なものへと発展させる。

 これらを実現するためには,「化学」の叡智を結集することも必要です。そのために,化学系の学協会同士の交流もさらに深化させたいと思います。また,川合先生はじめ歴代の会長が取り組んでこられた日本化学会の運営改革を継続し,事務局機能の強化も着実に進めていきます。会員の皆様の積極的なご支援とご協力をお願い申し上げます。

公益社団法人日本化学会 会長
株式会社三菱ケミカルホールディングス 取締役会長
小林 喜光