日本化学会

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異種材接合DLAMPと複合材のニーズ

Dissimilar Material Joining Technology DLAMP and Needs for Composite Materials

異種材接合技術は幅広い産業分野で利用され,様々な異種材料との複合化を達成し,産業の発展に貢献してきた1)。筆者らは,レーザによる金属表面の粗化に着目し,金属・異種材接合技術(DLAMP)の開発を行っている2)。図にDLAMP表面の拡大写真を示した。DLAMPにより形成される複雑な凹凸形状に異種材料が侵入することで,金属と異種材料を直接接合することができ,気密性・液密性の確保も可能である。射出成形によるインサート成形が一般的でだが,DLAMP金属を高温に加熱し,熱可塑性樹脂に押圧することでも接合可能である。異種材料として,熱可塑性樹脂やゴム,異種金属の接合検討を行った。
自動車,産業機器,医療機器等様々な分野から複合材の引き合いをいただいており,主なニーズを3点あげる。①難接着材の接合:接着剤で接着しにくいフッ素樹脂やフッ素ゴム,シリコーンゴムとの接合が可能である。②ネジ・パッキンレス:部材削減やフランジやボスをなくすことで小型化,組み立て工程の削減が期待されている。③封止性付与:電子機器や水冷ユニットの防水・防油性が確保できる。
これらニーズに応えるためには,接合技術の開発はもとより,接合加工機,接合のメカニズム解明,直接接合に適した部材の設計など解決すべき課題も多い。2023年3月13日に東京農工大学小金井キャンパスで開催された生産技術・製品開発ディビジョン勉強会で発表し,産学両方の参加者から多くの質問,ご意見をいただいた。様々な分野の専門家,異業種と連携し課題を解決していきたい。

chem76-06-01.jpg図 DLAMP表面の拡大写真


1) 河合巧介,異種材料の接着・接合技術と応用事例,株式会社技術情報協会,2022.
2) 板倉雅彦,金属/異種材接合技術「DALMP」について,軽金属溶接2020, Vol. 58, No. 2.

清水潔 ダイセルミライズ株式会社