日本化学会

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自己組織構造の制御による新しい化粧品基剤の開発:親-疎水性ブロック共重合体の逆ミセル型集合構造を利用したオイル増粘・ゲル化剤

化粧品において,油分は肌のバリア機能や使用感触を高める重要な役割を担う。これら油分の効果を最大限に活かした製品を開発するためには,油分の基本的な性質や外観を損なうことなく,安定性や触感,操作性を向上させる,すなわち,油分の性状を適切に制御する増粘・ゲル化技術が必要である。しかしながら,系中での静電反発が期待できない油系においては,高分子鎖の広がりによる増粘は困難であり,水系に比べゲル化剤・増粘剤のバリエーションは乏しい状況にあった。
筆者らは分子両末端に疎水部を有するポリオキシエチレン・ポリオキシブチレントリブロック共重合体に少量の水を添加することで油分を透明に増粘・ゲル化できる現象を見いだした1)。形成されたオイルゲルは高シェア印加時には流動化するシェアシニング性を示した。また,本系におけるゲル弾性は,棒状逆ミセル会合体の等方的なからみ合い構造によるものであることが示唆された。本技術の活用により,油分の特性を有しつつ,機能と良好な使用感触をあわせもつ様々な化粧品の開発が期待される。

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b)Y. Sugiyama, J. Jpn. Soc. Colour Mater. 2014, 87, 165.

杉山由紀 (株)資生堂 みらい開発研究所