2000年に日本,そして住友化学に入社し,15年間にわたりバルク化学製品生産用の固体触媒およびそのプロセスの開発に従事した。2016年からは事業部門とコーポレート部門での研究や技術開発関連の企画および実行を担当した。入社当初は英語でのコミュニケーションが主だったが,企業での円滑な業務遂行のためには日本語でのコミュニケーションが重要であることに気づき,その後は日本語の勉強にも力を入れている。
その過程で,塩化水素から塩素を生産する技術や,クメン法でプロピレンオキサイドを生産する固体触媒の開発に携わるとともに,これらの技術を通じて環境負荷低減など石油化学産業が抱える課題解決に貢献すべく,その技術のライセンス・触媒事業にも従事した1)。その後,事業部門では電池材料事業の企画や新規事業創出に向けた社内体制の構築の企画と実行に従事した。
近年は,化学会社の社会全体,そして異業種との交流と共同での新しい価値創造がますます必要になってきている中,「共創」をキーワードに,社外との交流と共創を促進する「SYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジ」2)という住友化学の共創施設の企画,立ち上げを経て,現在は運用を担当している。このプロジェクトを通じて,会社の社会への貢献に不可欠な社会との対話を促進し,製品やソリューション開発につないで,社内のコミュニケーションの活性化にも寄与している。
これらの経験を通じて,大手化学企業で働くこと,そして外国人として日本の大手化学企業で働く際の気づきや楽しさについて,自らの経験を基に紹介した。
1) 住友化学のライセンス技術,www.sumitomo-chem.co.jp/technology-licensing
2) SYNERGYCA共創ラウンジ,www.synergyca.jp
クナップ カルロス 住友化学株式会社技術・研究企画部,SYNERGYCA共創ラウンジ
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技術・研究企画部/SYNERGYCA共創ラウンジ