The University of British Columbia(カナダ,バンクーバー)のJack Saddler教授の下に,当時在職していた王子製紙株式会社(現:王子ホールディングス株式会社)の支援により3年間(2007~2010年)留学をして,バイオリファイナリーに関する研究(バイオマスの前処理後のリグニンの性質が酵素糖化に与える影響について)で学位を取得した。今回,本留学経験について名古屋大学で講演する機会をいただき,チャレンジをすることの大切さや初心を思い出すことができた。
留学中は時間の使い方については自由がある一方,結果に対する自己責任が明確であり,研究のオリジナリティや計画性の大切さを痛感した。またSaddler教授からは,研究における深い思考力の大切さだけではなく,日々の生活における周囲への気配りやチームワークの大切さも学ばせていただいた。帰国後は研究グループのリーダーを会社から任せていただき,NEDOプロジェクトや工場にパイロットプラントを設置する経験も積むことができた。2014年からは,神奈川工科大学工学部で教員として教育,研究を行う機会を得たが,現職でも留学時の経験は教育や研究を行う上でのバックボーンとなっている。このように海外留学はキャリア形成だけではなく,自分自身の成長につながったと感じている。
最後に留学の支援をして下さった王子ホールディングス(株)と当時の上司の高橋義之さん,慣れない海外での生活を支えてくれた家内に,この場を借りて感謝を述べさせていただきます。
仲亀誠司 神奈川工科大学工学部応用化学生物学科