日本化学会

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固体触媒を用いたナイロン6の加水分解

Hydrolysis of Nylon 6 over Heterogeneous Catalysts

ナイロン6(ポリアミド6,PA6)の加水分解は,ε-カプロラクタム(CL)を回収・再利用するケミカルリサイクルの手段として有望視されている。筆者らは,酸化ジルコニウム(ZrO2)が,ジペプチドやPA6等の幅広いアミド化合物の加水分解に有効な触媒となることを見いだした1)。本触媒を用いると,既報よりも100℃以上温和な反応条件(230℃,2 h)下で,PA6からCLと6-アミノカプロン酸が各々収率81%,13%で得られる。酸・塩基点が協奏的に機能することが本反応に必要であるが,その中でも弱塩基点が重要である。グリシルグリシンをモデル基質とした反応において,Zrがわずかながら溶出するのに伴い,一部の弱塩基点が強塩基点へと変化して,不可逆的に失活してしまうことがわかった。したがって,耐久性の向上が次なる課題である。
本報告を受け,Vlachosらは,PA6の加水分解における固体酸化物触媒の安定性を評価した2)。ZrO2やTiO2をそのまま用いると失活してしまうが,あらかじめ水熱処理を施して安定化させたTiO2は再使用可能である。実際に,270℃,0.5 hの条件下で,約80%のCL収率を繰り返し与えることを示している。
ZrO2にRuナノ粒子を担持した触媒を用い,350℃,H2 3 MPaの条件下でPA6の加水分解を行うと,CLが90%以上の収率で得られることが最近報告された3)。Ru上で生じる活性水素種がC-N結合の切断に際して協奏的な作用を示すと説明されているものの,確固たる実験的な証拠はなく,その役割の解明が待たれる。


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    1)    S. Tomita, M. Yabushita et al., Catal. Sci. Technol. 2024, 14, 3898.
    2)    D. G. Vlachos et al., ChemSusChem 2025, 18, e202501186.
    3)    L. Olsson et al., ACS Environ. Au 2026. doi: 10.1021/acsenvironau. 5c00272.

藪下瑞帆  東北大学大学院工学研究科