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メタンを還元剤とする硝酸イオンの光還元アンモニア合成

Photosynthesis of Ammonia from Nitrate using Methane in Homogenous Rhenium Catalysis

アンモニアは肥料や化学工業原料として現代産業には不可欠な基幹化学品である。しかし,肥料由来の余剰の硫酸アンモニウムが土壌中で硝酸イオンに変換され,水質汚染や富栄養化,生物多様性の低下などを引き起こし,さらには,NOxなどの窒素酸化物に変換されることで,気候変動の一因になり得ることが知られている。近年提唱されたプラネタリー・バウンダリーでは,窒素循環の乱れはすでに限界閾値を超えていると報告されており1~3),窒素循環の正常化は,炭素循環と同様に,持続可能社会の実現においては重要課題とされている。通常,下水処理施設などでは硝酸イオンは微生物によって窒素分子へ還元されるが,その窒素分子を再びアンモニアへ変換するためには,エネルギー負荷を必要とするハーバー・ボッシュ法を用いざるを得ない。
そこで筆者らは,硝酸イオンを直接アンモニアに変換する反応系の開発に取り組んだ。その際,還元剤には再生可能資源と親和性の高いメタンを用い,駆動力として光エネルギーを利用する触媒反応系をデザインした。具体的には,有機レニウム錯体を触媒とし,メタンを還元剤,紫外光を照射することによって,硝酸イオンからアンモニアへのワンポット合成反応の開発に成功した4)。筆者らの知る限り,本反応系は,メタンを還元剤として硝酸イオンをアンモニアに直接変換した初めての例である。本研究は炭素循環と窒素循環を連結・統合した持続可能な化学変換プロセスの新たな可能性を示すものであると筆者は考える。

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  1) K. Richardson et al., Sci. Adv. 2023, 9, eadh2458.
  2) W. Steffen et al., Science 2015, 347, 1259855.
  3) J. Rockström et al., Nature 2009, 461, 472.
  4) T. Matsumoto et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2025, e202423543.

松本崇弘  九州大学大学院工学硏究院