日本化学会

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温和な近紫外光分解

Near-UV Photocatalytic Decomposition of PFAS using ZnO Nanocrystals 

ペルフルオロアルキル化合物(PFAS)は,極めて高い化学的安定性と優れた表面特性を有することから,半導体製造や表面処理をはじめとする幅広い産業分野で利用されてきた。一方,その高い安定性ゆえに環境中でほとんど分解されず,近年では水環境を中心とした深刻な汚染が世界的な問題となっている。現状,活性炭への吸着や使用済み吸着材の高温処理が行われているものの,分解効率と経済性の両立が難しく,新しい分解手法が求められている1)。
筆者らは,安価で低毒性,かつ比較的低エネルギーな近紫外光(365 nm)に応答するZnOのナノ結晶に着目した。PFASの中でも特に分解性の低いペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の水溶液に,表面を酢酸で修飾したZnOナノ結晶とトリエタノールアミン(犠牲剤)を加え,365 nmのLED光を24時間照射したところ,92%の脱フッ素化率を達成した2)。本来,PFOSのような難分解性物質を還元するには,高エネルギーの深紫外光が必要である。しかし本研究では,半導体ナノ結晶で特徴的に起こるオージェ再結合という非線形光学過程を利用し,励起エネルギーを蓄積電子に集約させ,近紫外光から高還元力の電子を生み出すことで,より低エネルギーな還元的分解を実現している。
安価で低毒性なZnOと汎用LEDを用いる本手法は,低エネルギーでPFASを分解・無害化でき,将来的なフッ素資源循環への展開も期待される。また,実環境水への適用や連続処理技術の確立により,PFAS汚染問題の解決に貢献し得る。

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    1)    C. S. Tshangana et al., npj Clean Water 2025, 8, 41.
    2)    S. Kanao et al., Chem. Sci. 2025, 16, 23055.

金尾周平  立命館大学生命科学研究科
小林洋一  立命館大学生命科学研究科