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天然ガスの起源推定を惑わせる地下微生物のはたらき

How Subsurface Microbes Complicate the Identification of Natural Gas Origins

天然ガスの主成分はメタンである。地下で生成するメタンは,メタン生成菌と呼ばれる微生物によって作られる「生物起源メタン」と地下深部で有機物が地熱によって分解されて発生する「熱分解起源メタン」に大別される。これまで,メタンの生成起源を推定する際には,メタンの「安定同位体シグナル」が重要な指標として用いられてきた。地下の生物起源メタンは,同位体平衡に近い安定同位体シグナルを示すことが特徴であるが,この特徴をメタン生成菌の室内培養実験で再現した例はなく,同位体地球化学と微生物学の解釈には大きな隔たりがあった。
筆者らは,地下環境を忠実に模擬する高圧培養装置を開発し,低水素濃度条件下でメタン生成菌を培養した。その結果,地下の生物起源メタンに特徴的な同位体平衡に近い安定同位体シグナルを初めて再現することに成功した。さらに,高圧・低水素条件下の地下環境においては,メタン生成菌が熱分解起源メタンの安定同位体シグナルを生物起源メタンのものに「上書き(再平衡化)」することを明らかにした1)。この発見は,従来の安定同位体解析に基づく天然ガスの起源判定を再考する必要性を示すものであり,熱分解起源メタンの寄与が過小評価されている可能性を示唆している。今後,本成果が天然ガス鉱床の成因理解や探査手法の高度化に新たな視点を提供し,これまで見落とされていた新しい天然ガス資源の評価につながることが期待される。

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    1)    D. Mayumi et al., Science 2024, 386, 1372.

眞弓大介  産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門 生物地球科学研究グループ