日本化学会

主催        日本化学会産学交流委員会
会期        2014年11月26日（水）・27日（木）
会場        化学会館（東京都千代田区神田駿河台1-5）
主査        田代 孝二（豊田工大）
趣旨        高分子材料の物性を深く理解しようとする場合、最も基本的に重要な構造情報（化学構造、分子量、　分子立体構造、分子鎖集合状態など）の詳細を知ることが不可欠です。皆さんは、そのために様々の装置を駆使して沢山のデータ収集を行なっておられると想像します。しかし、その山積みのデータをきっちり定量的に「解析」できていますか？解析結果を上手く「解釈」できていますか？
この講座は、単なる入門講座ではありません。キャラクタリゼーションも旨く行えば、ここまで深く突っ込んだ情報が得られる！この点を強く実感していただくことを念頭に、基礎概念導入を皮切りに、とことん突っ込んだキャラクタリゼーションテクニックまでを系統的に教授します。
対象        人事異動や配置転換、新規事業の開始等によって、新たに当該技術の知識獲得を目指す中堅技術者　およびプロの研究者。当該分野の化学的知識を基礎から学びたいと考える技術系新入社員。化学企業への就職を希望する化学系学生。
*　化学技術基礎講座「高分子化学」を受講、または同等の知識を有することが好ましい。
参加費    個人正会員（法人会員含む）25,000円、学生会員 10,000円、非会員 40,000円
              ※会期初日夕刻の懇親会費は無料、2日間の昼食代は上記参加費に含みます。
申込        日本化学会ホームページのイベント＞産学交流イベントページよりお申込下さい。
                参加証・請求書は受付次第お送りします。募集人員50名（10名より催行）

プログラム

11月26日（水）　９時50分～17時05分　（終了後懇親会）

９:50-10:00    講座の開始にあたって 　　田代 孝二（豊田工大）

10:00-11:00   製品開発のための高分子キャラクタリゼーション～その威力を発現するには～
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加藤 信子（ブリヂストン（株））
有機材料、高分子材料はさまざまな分野の製品として使われている。新機能を発現する材料の開発では、ますます高度な分子設計、金属・無機材料との複合化、ハイブリッド化が進められ、多くのイノベーションを起こしている。これら材料発のイノベーションを支えてきた高分子キャラクタリゼーションについて、事例紹介も交え、新製品開発に携わる方に必要なマインドセットを解説する。

11:00-11:10   インキュベーションタイム

11:10-12:10   ここまでわかる最先端の高分子キャラクタリゼーション（その１）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田代 孝二（豊田工大）
高分子は分子量の定まらない、かつ極めて複雑な集合組織を呈する「不可思議な」材料である。従って構造の詳細など分かるはずがない...そんな風に初めからあきらめている人が数多くいる。残念ながら、それは誤解である。高分子の複雑な構造と運動性そして物性との関わりを様々のレベルから明らかにすること、これこそがキャラクタリゼーションの本命である。高分子材料の高度化と高分子キャラクタリゼーション技術の進展は車の両輪のように相まって今日に至っている。ここでは最先端の高分子キャラクタリゼーションの応用事例を紹介する。

12:10-13:30   ランチミーティング

13:30-15:10   分子量と分子量分布（質量分析・クロマトグラフィー・光散乱）　　中村 洋（京大）
高分子を性格づける特徴量である分子量と分子量分布についてその定義と概念を理解する。その上で高分子の研究開発に不可欠な分子量とその分布の種々の決定方法について、それぞれの測定原理と特徴を示す。高分子を分子量の観点からどのように理解できるのか、その基礎から最先端までを分かりやすく解説する。

15:10-15:25   インキュベーションタイム

15:25-17:05   高分子の構造と運動性（溶液および固体ＮＭＲ） 　　　浅野 敦志（防大）
高分子の静的構造のみならず動的構造を理解することは、高分子材料の使用状況下における物性・機能を設計する上で極めて重要である。ＮＭＲ法は溶液あるいは固体における高分子の構造および運動性を知る上で極めて優れた手法である。本講義では、そのノウハウを分かりやすく講義する。

17:05-18:30   懇親会 

11月27日（木）　9時30分～16時50分

9:30-11:10     高分子の結晶、非晶、高次構造解析（広角・小角Ｘ線散乱）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 佐々木 園 （京都工芸繊維大）
分子レベルから高次構造まで高分子のもつ階層構造を明確にすることは、高分子材料のマクロスコピックな特性をミクロスコピックな分子設計によって実現するための鍵といえる。広角および小角X線散乱法は、そのような高分子の複雑な凝集構造を調べる上で不可欠である。X線散乱法の基礎を解説するとともに、放射光を用いた最先端の構造研究にまで言及する。

11:10-12:20   昼食

12:20-14:00   高分子鎖の形態と原子間・分子間相互作用（振動分光） 　　田代 孝二（豊田工大）
赤外ラマンスペクトルは高分子の官能基の同定にだけ使われるのではない。高分子鎖の形態や集合状態、さらに驚くことにはナノスケールのモルフォロジーをも敏感に反映する。振動分光の高分子への応用について分かりやすく、かつ高度なレベルで解説するとともに、実際の構造解析への応用例を提示する。

14:00-14:15　インキュベーションタイム

14:15-15:15  ここまでわかる最先端の高分子キャラクタリゼーション（その２）             

15:15-15:55  高分子の新しい姿を捉える　最先端巨大科学（放射光、中性子）の紹介
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田代 孝二（豊田工大）
前半に続いて最先端の高分子キャラクタリゼーションの応用事例を紹介する。また、放射光や中性子施設など最新巨大科学の高分子研究に対する貢献について紹介する。

15:55-16:10  インキュベーションタイム

16:10-16:50   総合ディスカッション「高分子キャラクタリゼーションの難しさと重要性」