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イベントカレンダー

化学技術基礎講座2023 製品開発に必要な有機合成化学の基礎(現地開催)

主催:日本化学会産学交流委員会
会期:2023年9月11日・12日
会場:化学会館 アクセス

主査:秋山隆彦(学習院大理)

趣旨:有機合成化学は、電子材料分野、医薬品分野、環境・エネルギー分野などの幅広い分野において、機能性素材を製造するための重要な基盤技術となっている。本コースでは、素材の製品設計に必要な有機合成化学の基礎と最近のトピックを学べる講座を企画した。炭素ー炭素結合形成反応、酸化還元反応、複雑な化合物の合成戦略等の有機合成化学の基礎に加えて、有機金属化学、ヘテロ環の化学、有機フッ素化学、フロー精密合成、理論化学計算、固体触媒化学などについても、基礎から最新のトピックまでを紹介する。

対象:当該分野の化学的知識を基礎から学びたいと考える技術系新入社員。人事異動や配置転換、新規事業の開始等によって、新たに当該技術の知識獲得を目指す中堅技術者および研究者。化学企業への就職を希望する化学系学生。

参加費:個人正会員(法人会員含む)32,000円、学生会員 10,000円、非会員 50,000円
※法人会員企業一覧はこちらよりご確認下さい。法人会員企業のグループ会社、子会社、連結会社等は「非会員」になります。但し、非会員のグループ会社等にご在籍でも、出向元が法人会員であれば「法人会員」扱いとなりますの で、その旨ご連絡下さい。
※会期初日夕刻の懇親会費は無料、2日間の昼食代は上記参加費に含みます。

申込方法:チケット申込サイト「Peatix」よりお申込みおよび事前決済を行ってください。
     詳細はリンク先にてご確認ください。
     https://kisokouza2023yuki.peatix.com

申込期限:お支払い方法により申込期限が異なります。詳細はPeatixのイベントページよりご確認下さい。

募集人数:50名(10名より催行)

現地開催にあたっての注意事項:
① 準備や昼食等の手配の都合、9/6 12時迄のお申し込みをお願いします。(それ以降の申込については、事務局までメールでご連絡下さい。)
②会場は化学会館 5階会議室です。[アクセスはこちら] 開場は9時15分(予定)です。受付にてPeatixのチケット画面をご提示ください。
③会期初日夕刻の懇親会は無料、2日間のランチミーティング時の昼食代(お弁当)は参加費に含みます。(※懇親会について、実施を含めた詳細については別途ご連絡します。)
④本講座は現地受講のみ可能です。(ライブ配信はございません。)
⑤2日間の現地での講義終了後に、復習用として当日の講義風景を録画したものを期間限定で配信する予定です。なお、こちらについては補助的なものであり、音質・画質等の品質は保証できないこと、状況により配信ができない場合もあることをご了承下さい。
⑥本講座「化学技術基礎講座 有機合成」について、来年度はオンライン開催を予定しております。

プログラム

9月11日(月) 9時30分~17時40分 (終了後懇親会)

9:30-9:40 本研修の全体像、趣旨
        秋山隆彦(学習院大理)

9:40-11:00 有機合成の基礎:炭素-炭素結合形成反応
        秋山隆彦(学習院大理)

有機合成の基本である炭素-炭素結合形成反応と酸化還元反応のうち、炭素-炭素結合形成反応の基本を解説する。有機化学と有機合成化学の違い、立体化学の基礎、有機合成を勉強するときに役立つ情報、文献の探し方などについても述べる。さらに、有機分子触媒を用いた反応についても紹介する。

11:00-11:10 インキュベーションタイム

11:10-12:30 有機合成の基礎:実験室での酸化・還元から工業的な酸化まで
       岩渕好治(東北大院薬)

複雑な有機化合物を合成する際、基本となるのは炭素骨格形成のための炭素-炭素結合生成反応と官能基の変換反応の二つである。両者は有機合成の縦糸と横糸の関係にある。後者の代表が酸化・還元反応である。本講演では、フェノールの合成法として大規模に実施されているクメン法のような工業的酸化反応から医薬品など精密化学製品の合成のための実験室的な酸化還元反応まで幅広く解説する。さらに不斉酸化、不斉還元についても触れる。

12:30-13:20 ランチミーティング

13:20-14:40 複雑な化合物を合成するときの合成戦略
        井上将行(東大院薬)

プロスタグランジンなどの生理活性天然有機化合物を合成ターゲットとして取りあげ、1)逆合成解析の基礎(結合切断や等価変換など)、2)有機合成の三要素(炭素骨格の構築、酸化度の調節、立体化学の整備)、3)合成手法の進歩に伴う合成戦略の変化(不斉合成、対称性の利用)、などについて解説する。

14:40-14:50 インキュベーションタイム

14:50-16:10 有機フッ素化合物:基礎から最近の合成技術まで
        網井秀樹(群馬大院理工)

有機フッ素化合物は、医薬、農薬、液晶材料、高分子材料などの様々な産業分野において利用されている。本講義では、まず、有機フッ素化学の基礎(フッ素原子が醸し出す特異な性質とその発現の原理)について述べる。ここ数年で飛躍的に発展した「有機化合物への含フッ素官能基の触媒的導入反応」について、国内外の研究動向を紹介する。

16:10-16:20 インキュベーションタイム

16:20-17:40 固体触媒の特長を利用した有機合成
        山口和也(東大院工)

固体触媒は、触媒/生成物の分離や触媒再使用・再生が容易、耐熱・耐酸化性に優れるという利点を有する。また、担持触媒であれば担体の選択・設計→主活性点の創製→補助活性点の導入というように、階層的かつ合理的に触媒設計が可能である。本講では、固体触媒を用いた有機合成の事例をいくつか紹介するとともに、固体触媒化学の基礎について解説する。

17:50-18:50 懇親会

9月12日 9時30分~17時40分

09:30-10:50 医薬品・電子材料で注目されるヘテロ環の化学
        徳山英利(東北大院薬)

医薬品・電子材料にはヘテロ環を含むものが多く、骨格の構築法に加え、望みの位置への置換基導入が問題となる。特に最近、古典的な反応に加え、遷移金属触媒やラジカル反応を用いた骨格構築および官能基化が注目を集めている。本講義では、基本的なヘテロ環を取り上げ、それらの構築法と修飾法について概説し、医薬品や天然物の合成に応用された例について紹介する。

10:50-11:00 インキュベーションタイム

11:00-12:20 理論計算で切り拓くものづくりの化学
        内山真伸(東大院薬・信州大RISM)

有機化学が対象とする分子・現象には「手に取り出せないもの」「目には見えないもの」が数多く存在する。反応遷移状態、不安定高活性種、物性予測、軌道間相互作用などもその一つである。これらをいかに合理的にデザインするかが、ものづくりに大変重要である。本講義では、前半に「ものづくりに活かすための理論計算の基礎・考え方・使い方」を概説し、後半では「実験と理論の融合による反応開発・機能創出研究の進め方」などについて最近の実例を交えながら紹介する。

12:20-13:10 ランチミーティング

13:10-14:30 再結晶化による分離精製操作のためのレシピエンジニアリング
        滝山博志(東京農工大院工)

化成品製造、新素材開発の現場では、分離精製の目的で「再沈」や「再結晶」と呼ばれる操作が行われる。ところが、その操作レシピの少しの違いが、結晶化物質の品質に影響を与え、生産性にも大きな影響を与える。例えば、純度、粒径分布、形状、結晶多形に関わる問題である。この結晶性物質に品質を作り込むプロセス技術が「晶析」操作であるが、今回は、どんな操作レシピを設計すれば結晶化が上手く制御できるのかについて、最近の連続フロー製造などのトレンドにも触れながら紹介する。

14:30-14:40 インキュベーションタイム

14:40-16:00 有機金属化学の基礎とクロスカップリング反応
        中村正治(京大化研)

クロスカップリング反応は基質適用範囲が広く、遷移金属触媒を用いる炭素-炭素結合形成の定番反応として、低分子から高分子に至るまで、機能性化合物の合成に幅広く利用されている。有機金属反応剤(炭素求核剤)を用いる従来の反応に加え、C-Nカップリング反応やC-H官能基化型のクロスカップリング反応の有用性も高まっている。本講では、触媒サイクルを構成する各素反応について述べるとともに、反応に用いられる触媒前駆錯体と配位子の特徴についても解説する。

16:00-16:10 インキュベーションタイム

16:10-17:30 フロー精密合成による「ものづくり」のイノベーション
        小林 修(東大院理)

「持続可能な社会」においては、環境に負荷をかけない、真に効率の高い、安全・安心に行うことのできる革新的製造プロセスの開発が必須である。我が国の将来を担うファインケミカルの製造は、現在、ほぼ100%バッチ法で行われているが、ここでも革新が求められている。本講では、バッチ法に代わる新手法として注目されている流通法に基づく連続製造法、その鍵を握るフロー精密合成について概説する。

17:30-17:40 まとめ
        秋山隆彦(学習院大理)

会期 2023年9月11日(月)・12日(火)
行事名 化学技術基礎講座2023 製品開発に必要な有機合成化学の基礎(現地開催)
会場 化学会館
連絡先 日本化学会企画部 担当:矢部 / 斎田
E-mail: sangaku@chemistry.or.jp