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講演会・シンポジウム

【化学技術レベルアップ講座】 次世代化学技術者のための化学工学実践講座 ー基盤知識からデータ駆動型アプローチまで―(現地開催)

主催:日本化学会産学交流委員会

会期:2025年12月8日(月)・9日(火)※2日間の講座です、日程にご注意下さい。

会場:化学会館5階会議室(東京都千代田区神田駿河台1-5)

主査:霜垣幸浩(東京大学)

趣旨:研究室でうまくいった反応条件でも、いざプラントで実装しようとすると「話が違う」― そんな壁に直面しないためには、単位操作・スケールアップの考え方をはじめとした"化学工学のセンス"が欠かせません。本講座では、化学技術者として知っておきたい化学プラントの基本と、エネルギー・環境を含めた出口設計、さらにはプロセスの最適化やデータ駆動型アプローチまで、化学工学の今を幅広く・実践的に学びます。

対象:当該分野の化学的知識を基礎から学びたいと考える技術系新入社員。人事異動や配置転換、新規事業の開始等で、新たに当該技術の知識獲得を目指す中堅技術者および研究者。化学企業へ就職を希望する化学系学生。

参加費:個人正会員(法人会員含む)32,000円、学生会員 10,000円、非会員 50,000円
※参加登録費はいずれも「税込」で、課税区分は「課税」です。
※法人会員企業一覧はこちらよりご確認下さい。法人会員企業のグループ会社、子会社、連結会社等は「非会員」になります。但し、非会員のグループ会社等にご在籍でも、出向元が法人会員であれば「法人会員」扱いとなりますので、その旨ご連絡下さい。
※会期初日夕刻の懇親会費は無料、2日間の昼食代は上記参加費に含みます。

募集人員:50名(10名より催行)※開催2週間前に10名に満たない場合は、キャンセルの可能性もありますのでご了承下さい。

申込:チケット申込サイト「Peatix」よりお申込みを行って下さい。
https://kagakulevelup2025kagakukougaku.peatix.com

※キャンセルにつきましては、12月1日12時迄に学会事務局にメールにて直接ご連絡ください。それ以降のキャンセルについてはお受けできかねます。お申込み・お支払いなどに関する注意点は、上記URLからご確認下さい。

現地開催にあたっての注意事項:
① 準備や昼食等の手配の都合、12月1日 12時迄のお申し込みをお願いします。
②会場は化学会館 5階会議室です。[アクセスはこちら] 1日目の開場は9時15分(予定)です。受付にてお名前を伝えて下さい。
③会期初日夕刻の懇親会は無料、2日間のランチミーティング時の昼食代(お弁当)は参加費に含みます。
④本講座は現地受講のみ可能です。(ライブ配信はございません。)
⑤2日間の現地での講義終了後に、復習用として当日の講義風景を録画したものを会期後1カ月程度配信する予定です。なお、こちらについては補助的なものであり、音質・画質等の品質は保証できないこと、状況により配信ができない場合もあることをご了承下さい。
⑥講義の資料等はPDFで配布いたします。冊子でのお渡しはございませんのでご了承下さい。

【禁止事項】本講座は、申込者本人のみの参加、オンデマンド視聴に限らせていただきます。録画・録音は固く禁じます。また講義資料は申込者本人の使用に限り、再配布等は固く禁じます。

プログラム

12月8日(月) 9時25分~17時50分 ※終了後懇親会

09:25-09:30 開始前の案内

09:30-09:40 挨拶、趣旨説明      霜垣幸浩(東京大学)

09:40-11:00 化学工学の基礎と活用例 ~吸着繊維を使った汚染水処理を例にして~ 斎藤恭一(早稲田大学)

東電福島第一原発では、メルトダウン事故から14年以上経った現在でも汚染水の処理が続けられています。わたしたちの研究室では放射性のセシウム除去用吸着繊維(組み紐)をベンチャー企業と協力して製造し、現場の一部に供給しています。そのときに「何kgの吸着繊維を、何日間、汚染水に浸せばいいんだ?」という設計論が現場から求められました。これに応えるための化学工学的アプローチを通して化学工学の考え方を理解してもらいたいと思います。

11:10-12:30 反応工学講座 霜垣幸浩(東京大学)

「反応」は化学品製造プロセスの中核をなす単位操作であり、その設計や運用は工業化の成否を左右します。本講座では、バッチ/連続、管型/槽型、押し出し流/完全混合といった反応器の基本的な理論を解説するとともに、ラボスケールで得られる反応特性を踏まえた反応形式の選定法についても取り上げます。さらに、量子化学計算による反応機構の解明や速度定数の推算法など、実践に役立つ知識と最新のトピックについても紹介します。

12:30-13:30 ランチミーティング

13:30-14:50 装置内輸送現象の基礎  羽深 等(横浜国立大学)

反応装置を取り扱う化学工学の基礎として輸送現象を紹介し、その捉え方を解説します。そして、輸送が分かれば、目指す現象と為すべき操作の本質を把握できることを説明します。主な内容は次の通りです。(1)輸送現象とは、(2)法則(流れ、熱、物質の輸送)、(3)流れ(粘度と慣性、層流・乱流) 、(4)熱(対流・伝導・放射・反応熱)、(5)物質の動き(対流・拡散・消費・生成)、(6)反応装置内諸輸送現象の解析例・設計例と活用例。

15:00-16:20 物性推算講座 下山裕介(東京科学大学)

化学プロセスの設計や、操作条件を最適化する際には、配管内での流動や熱移動、反応容器内における相状態(均一相・不均一相)や拡散、分離容器内における相分離や拡散といった平衡物性や輸送物性を把握することが不可欠であります。本講座では、プロセス設計・最適化を行う際に重要となる物性推算について、(1) 圧力-密度-温度の関係、(2) 平衡物性、(3)輸送物性について、推算モデルとその選定方法について紹介します。

16:30-17:50 撹拌・混合操作の基礎  小林大祐(東京電機大学)

撹拌・混合操作は、化学工業において製品化するための製造・生産プロセスの重要な要素技術の一つです。しかしながら、実用的な技術は現場のノウハウで対応されている例が多いのが実情です。本講座では、撹拌・混合操作に関する基礎事項から始め、撹拌装置のスケールアップ設計に係わる基本的な考え方までを紹介いたします。

18:00-19:00  懇親会

12月9日(火) 9時00分~17時20分 

09:00-10:20 晶析操作の基礎 滝山博志(東京農工大院工)

晶析は、結晶化現象を利用して目的成分を分離・精製し、同時に結晶性の粒子群を製造する重要な操作です。医薬品や食品分野にとどまらず、電池などの機能性材料や新素材の開発、さらにはエネルギー・環境分野に至るまで、幅広い応用が進んでいます。しかし、晶析操作を適切に設計するには、核化や成長に関わる「速度論」、そして結晶化の駆動力となる「過飽和」の概念を正確に理解することが不可欠です。本講義では、晶析操作の基礎から、近年注目されている連続フロー晶析技術まで、具体的な実例を交えてわかりやすく解説します。

10:30-11:50 環境配慮プロセス設計講座 -化学プロセスの環境影響評価と設計- 杉山弘和(東京大学)

化学プロセスは、原料から目的製品を製造するために、反応や分離など様々な単位操作や制御装置を組み合わせたシステムです。その設計においては、原料から製品への転換効率を最大にし、スチームなどのユーティリティ消費を最小にし、さらに運転性、安全性を確保しなければなりません。近年は、廃棄物や温室効果ガス排出の削減など環境配慮設計も欠かせない視点となっています。本講座では、化学プロセスおよび製品の環境影響評価の考え方やそれを考慮した設計方法を学びます。

11:50-12:50 ランチミーティング

12:50-14:10 蒸留の基礎  海野 洋(元 日揮株式会社)

反応によって製品を作る場合、必ず副生物が生成します。また、製品中には未反応の原料も含まれますので、化学プロセスにおいてこれらの混合物から製品を分離することは極めて重要な操作です。分離操作には蒸留、吸収、吸着、抽出、晶析、膜分離などありますが、化学プラントの分離操作の中で蒸留は7~8割を占めております。蒸留の原理、蒸留計算、蒸留塔の設計の基礎についてお話しします。また、蒸留塔内部の気液挙動の映像をお見せします。

14:20-15:40  粉体の取扱いと粒子物性,粉体特性の基礎 後藤邦彰(岡山大学)

化学プロセスでは粉(こな)や粒(つぶ)の状態で固体材料を扱う場合が多く、その取扱いはプロセスを安定に操作、制御する上で重要となります。本講座では、粒子状物質の取り扱いの考え方と、取り扱う上で基礎となる粒子径分布を中心とした粒子状物質の物性、および、固体粒子が集合体となったときの粉体特性の基礎についてお話します。

15:50-17:10 データ駆動型化学工学の基礎-機械学習による分子・材料・プロセスの設計- 金子弘昌(明大理工) 

データ駆動型アプローチを活用した化学工学についてご紹介します。機械学習の技術を用いて、分子・材料・プロセスを効率的に設計する方法が注目を集めております。実験やシミュレーションで得られたデータから機械学習モデルを構築し、目的に合った性質を持つ分子や材料、プロセス条件を予測・設計する手法を、基礎からわかりやすく解説します。また、目標となる性能から必要な条件を逆に導き出すモデルの逆解析の考え方についても触れます。

17:10-17:20 まとめ 霜垣幸浩(東京大学)

会期 2025年12月8日(月)・9日(火)
行事名 【化学技術レベルアップ講座】 次世代化学技術者のための化学工学実践講座 ー基盤知識からデータ駆動型アプローチまで―(現地開催)
会場 化学会館5階会議室(東京都千代田区神田駿河台1-5)
連絡先 日本化学会企画部 担当:矢部
E-mail: sangaku@chemistry.or.jp