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【開催報告】「R&D懇話会249回」石狩データセンター関連施設見学会(同時開催:札幌「寒地土木研究所」見学会

2026年6月30日

 6月4日(木)および5日(金)に、産学交流委員会(委員長 住田康隆(株式会社日本触媒))傘下の懇話会企画小委員会(委員長 山田裕貴 (大阪大学))の企画として、札幌市の国立研究開発法人寒地土木研究所、ならびに石狩市のデータセンターおよび周辺のエネルギー関連施設(さくらインターネット株式会社石狩データセンター、中部大学石狩超電導直流送電実証施設、北海道ガス株式会社石狩LNG基地)の見学会を実施した。 
 近年、AIの急速な普及に伴いデータセンターの電力需要が増大し、電力逼迫が社会課題となっている。今回の見学会では、自然エネルギーを活かした省エネ型のデータセンターと、電力損失を極限まで抑えた次世代の送電技術拠点、さらに排熱利用による高効率なエネルギー基地を見学し、研究者・技術者らが実際に施設を訪れて技術的な到達地点と課題を把握する貴重な機会となった。各見学先で担当者と参加者との名刺交換を行う時間も設けられ、参加者からは「技術を学ぶ有益な機会となった」、「研究者のネットワークを広げることができた」などの感想が寄せられた。本見学会にご協力いただいた全ての関係者の皆様に深く感謝を申し上げる。

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1. 寒地土木研究所(6月4日)

 初日に、寒冷地域の土木研究を行う寒地土木研究所を訪問した。冒頭では、同研究所の概要説明が行われ、 a)自然災害から暮らしを守る、 b) 老朽化インフラの点検・補修、c) 活力ある魅力的な地域の創出という3つの主要テーマのもと研究を進めていることが紹介された。また、Googleマップ上で利用可能な3Dハザードマップの提供など、社会実装に向けた取り組みなどについても説明があった。その後、所内の各種設備を順に見学した。具体的には、橋梁床版の耐久性試験を行う「輪荷重試験機」、吹雪時の視界状況を調査する「視程障害移動観測車」、道路の滑りやすさを調査する「路面すべり試験車・路面すべり抵抗測定装置」、魚道が中央に配置された構造が特徴的な「豊平川実験水路」、高波や津波の再現実験を行う「大型平面水槽」である。輪荷重試験機では稼働中の装置を実際に見学し、寒冷地特有の凍結・融解による劣化の影響を受けて撤去されたコンクリートを前に説明を受けた。観測車や大型水路・水槽は実験期間外であったため、模型や動画を用いて理解を深めることができた。なお、今回の見学会では、化学分野の参加者向けに特別に資料をご準備いただいたほか、宮藤所長・林審議役との名刺交換の機会も設けていただいた。

2. データセンター・超電導施設・LNG基地(6月5日)

 翌日は、石狩市のデータセンター関連施設および石狩LNG基地を訪問した。

2-1. 石狩超電導直流送電実証施設

 最初に、中部大学超伝導・持続可能エネルギー研究センター長の井上教授より、直流送電技術の特徴と実証状況について説明を受けた。 太陽光発電とデータセンターはいずれも直流電流を扱うため交流への変換が不要である点、直流送電ケーブルの長さを20から、200、500、1000mと段階的に延伸してきた経緯、断熱二重管を−200℃に保つため気体を冷却して固化することで真空度を高める独自の特許技術、低温でケーブルが縮むためらせん状に設計した工夫、常温への復帰にペルチェ素子を用いた点などについて解説があった。また、設備の遠隔監視の方法や、社会実装に向けた法制度と資金面の課題、さらに今後の展望にも触れられた。直流送電設備は、2018年11月に発生した北海道の大規模地震でも破損しなかったほど耐久性に優れているという。

2-2. さくらインターネット株式会社 石狩データセンター 

 続いて、さくらインターネット株式会社執行役員の澤村氏よりデータセンターの概要についてお話いただいた。複数のサーバールームを回りながら、石狩の冷涼な気候を活かして冷気でサーバーを冷却している様子を実際に見学した。扉の奥の部屋に向かうにつれてファンの高速回転の音が大きくなり、耳栓が必要なほどであった。一般的なデータセンターと比べて消費電力を約4割削減することに成功し、世界最高水準の電力効率を誇るという。 また、非常時の滞在スペース(テント、カプセルベッド、フィットネスマシン、食事スペースなど)も見学し、参加者は施設内部の様子を把握することができた。

2-3. 北海道ガス株式会社 石狩LNG基地 

 最後に、都市ガスの原料となる道内で唯一かつ最大のLNG基地を訪問した。同社の建設推進グループの沖田氏より、液化天然ガス(LNG)とは主成分のメタンを運搬するために冷却して液体化したものであり、発電のために燃やしても温室効果ガスや環境汚染物質を排出しないクリーンな燃料であること、発生する排熱を熱源として効率的に利用することで施設全体として高いエネルギー効率を達成していることなどのご説明があった。 また、北海道の大規模地震の際、道内の全域で地震発生後からブラックアウトが発生したが、同社では担当者が試運転中の火力発電設備を急遽稼働し、地域へ電力供給を行ったとのお話があった。構内を見学するバスの車内からは、石狩湾の巨大な風力発電設備なども見ることができた。


3. 北海道支部訪問・意見交換会

 事務局職員2名が北海道支部事務局を訪問した。意見交換会では、例年、北海道支部長にもご参加いただいており、本年度は北海道大学の居城教授にご出席いただいた。意見交換会では、産学交流委員会の委員と日本化学会の会員との間で、最近の化学会活動に関する率直な議論が行われた。


4. 今後の予定

 産学交流委員会および懇話会企画小委員会では、10月15日(木)から16日(金)の二日間の日程で、バイオ燃料に関する研究施設の見学を予定している。


【日本化学会 「R&D懇話会」法人会員(五十音順)】

新制度(オンライン参加人数制限なし)
・味の素株式会社・出光興産株式会社・AGC株式会社・株式会社⼤阪ソーダ・花王株式会社・⼀般社団法⼈化学情報協会・第⼀⼯業製薬株式会社・株式会社豊⽥中央研究所・株式会社ニコン・三菱ガス化学株式会社・三菱ケミカル株式会社・株式会社三ツワフロンテック

従来制度(オンライン参加人数制限あり)

・旭化成株式会社・川⼝化学⼯業株式会社・クミアイ化学⼯業株式会社・セントラル硝⼦株式会社・DIC株式会社・東京応化⼯業株式会社・⽇揮触媒化成株式会社・⽇本電気硝⼦株式会社・三浦⼯業株式会社


(事務局・田口)