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【開催報告】「R&D懇話会244回」カーボンニュートラルグリーンケミカル合成の最前線

2025年10月20日

産学交流委員会主催のイベント「R&D懇話会」を、10月1日(水)にオンラインで開催した。

最初に、富山大学工学系の椿範立教授より、CO2やCOなどの炭素数一個の化合物を原料としてアルコールや芳香族、オレフィン、ガソリンなどの有用な化学品を合成するC1化学についてご紹介いただいた。具体的には、合成ガスを原料にして、コア-シェル構造を有するカプセル触媒等の触媒反応により、一段階でエタノールやパラキシレン等を合成するという内容である。この技術を活用したカーボンニュートラルタイヤの実現や、実証プラントの建設が行われていることについてご紹介があり、選択的に目的の化合物を合成することの課題と今後の展望についても伺った。

続いて、素材・エネルギー系プラントや産業・インフラ設備の事業を行っている東洋エンジニアリング株式会社の寺井聡氏から、CO2を原料とする同社独自のメタノール合成技術「g-Methanol」と、同社と米国の航空燃料会社Velocysとの提携技術であり、COとH2から主に直鎖の炭化水素を生成するFT(フィッシャー・トロプシュ)合成の実証化研究についてご講演いただいた。社会実装に向けてサプライチェーンや社会システムの構築が重要であり、そのためには国際的な協力が不可欠であるとのお話があった。

これらの研究は、カーボンリサイクルの実現に向けた重要な技術である。

なお、企画立案や当日の司会進行、趣旨説明、総括については、東京大学の山口委員と花王株式会社の安宅委員が主に担当した。

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(事務局 田口)