日本化学会

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Top Message

20262027president

森川 宏平
Kohei Morikawa
2026年度・2027年度 日本化学会 会長


化学の役割

 

化学・ケミストリーはすべての自然科学につながるザ・セントラルサイエンス(the central science 「科学の中心」)と呼ばれています。自然界を形作っている化学物質を観察し,理解し,変換し,利用する学問である化学の知識や考え方は多くの自然科学に直接つながっています。

同様に化学産業で作られる素材や製品は多くの産業につながっており,それらの産業が必要とする機能を持った化合物を開発・提供するという役割を果たしています。化学産業はザ・セントラルインダストリー(the central industry「産業の中心」)と呼ぶことができるかもしれません。

「学問としての化学」「産業としての化学」に期待される役割の変化がここ10年ほどで顕在化してきているように感じています。これまでは,世の中を便利にする素材・製品を開発して生産する「マテリアル・プロバイダー」としての役割が化学に期待されていました。これからはそれに加えて,炭素循環社会の構築という地球環境の持続可能性を実現する「ソリューション・プロバイダー」としての役割が付け加えられていきます。ソリューション・プロバイダーとしての喫緊の課題は原料とエネルギーの化石資源依存からの脱却です。特に原料の問題は化学技術でしか解決できません。CO回収や水素エネルギー貯蔵の有力な手段としての可能性がある「多孔性金属錯体の開発」で昨年北川 進博士がノーベル化学賞を受賞されたことはそれを表しています。

化学の手法にも近年大きな変化が見られます。それはAIMIの進展が研究開発や製造の現場を劇的に変えつつあることです。これらの最新技術をザ・セントラルサイエンス/インダストリーとしての化学をより強靭化していく推進力にしなければいけません。

日本有数の歴史を持つ学会の1つである日本化学会は2年後の2028年に創立150周年を迎えます。化学に新たな役割が求められるようになった変化の時に節目の年を迎えることは象徴的です。

日本化学会では以前から化学だいすきクラブ,化学グランプリ(通称:化学の甲子園),国際化学オリンピック事業を通じて小・中・高生に化学に触れてもらう機会を提供し,高度人材の育成とベースとなる化学人材の広がりを積極的に推進しています。

加えて,ザ・セントラルサイエンスとしての化学には,若者が化学を入り口として様々な自然科学の分野に進んでいくことを後押しする役割もあります。

化学は(アカデミックとしても産業としても)ある時は主役としてある時は欠くことのできない脇役として社会を支えてきました。これからも日本化学会は産学が力を結集して社会を支え,持続可能な未来の実現に貢献していきます。

公益社団法人日本化学会 会長
株式会社レゾナック・ホールディングス
森川 宏平