日本化学会

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理想的な高校化学教育カリキュラム

Ideal High School Chemistry Curriculum

本年8月10日,本学会HPの新着情報に「高等学校化学教育カリキュラムに関する提言について」というお知らせ(文末記載のQRコード)が掲載された。
これまでの化学教育が,小・中・高・大と十分連続性を持って実施されてきたとは言いがたい。とりわけ高等学校と大学の化学教育のギャップは大きく,この点の改革をさらに進める必要がある。
教育・普及部門の学校教育委員会にある本小委員会は,国際性も意識し理想的な高等学校の化学カリキュラムを日本化学会として構築し,我が国の未来を担う生徒が学ぶべき化学の基盤となることを願い様々な検討を行ってきた。
身近な物質や変化,身近に利用されている器具(道具),測定方法,分析方法などに注目し,そこに潜む化学を探究する学びの手法が一般的になってきた。そこで,新たに第1章の有用性には,物質の持つ化学的特性の定性や定量に利用されている機器分析を追加した。また負のイメージが強い放射線や放射能も医療現場では欠くことのできない装置,物質であり,人間生活に有効利用されている。そこで第5章に核化学も追加した。終章は,「化学が果たす役割と化学が築く未来」と題し,持続性(Sustainable)をキーワードにSDGsとGSCにも触れた。なお最近,新聞紙上やテレビなどでよく見聞きする「カーボンニュートラル」や「脱炭素」などの用語は,科学的にも疑問があるため,高校生が学ぶべき必修用語としての採用を見送った。
委員会発足から本提言発表まで10年,この間に「化学用語検討小委員会」の立ち上げとその成果も公表された。この検討結果は次期学習指導要領の内容にも影響を与え,当然本提言に使用されている用語も準拠している。

柄山正樹 化学教育カリキュラム構築小委員会委員長